2019年大晦日までの4日間集中ピアノ三昧(前半)

2019年12月28日から31日までの4日間、4年ぶりに実家に帰って計32時間ピアノに触れた。こんなに長時間ピアノに向かったのは人生初だ。30年以上ぶりのピアノ。このブランクは大きく初心者同然。かつて10年ほどピアノ習ってましたとは恥ずかしくて言えないレベル。それでもピアノに向き合えて楽しい時間を過ごせたのは大きな一歩だ。

何をしていいか分からない1日目

さあ!ピアノ弾くぞー。

と意気込んだはいいけれど、自分がいない間にピアノの上は物置と化していた。ふたを開ける前に物をどかす。猫もどかす。そう、ピアノの上は猫の格好のお昼寝スポット。猫はこの黒い箱からやかましい音が4日間も鳴り響くことを知らない。

掃除に悪戦苦闘

期待していた黒光りする存在感のあるピアノ、いずこ。汚い。

黒いはずのピアノが、汚れまくり埃とか乾燥した泥みたいなのでコーティングされている。ひどい、ひどすぎる。ふたを開けようとするとジャリジャリしてスムーズに開かない。猫のしわざか。

日本全国のご家庭に使われず置いてあるだけのピアノって結構あるんじゃないかと思うけど、うちのはその汚さで優勝間違いなしだな。

とりあえず傷つけないように掃除機で埃や砂を吸い込み、ふたを開ける。懐かしのえんじ色のフェルトの保護カバーがかかってる(まさかの虫食い!)。ぱらーんとフェルトを取ると鍵盤も何故か汚い。鍵盤の隙間も丁寧に吸い込む。それでもこびりついて取れない汚れが(泣)。どうやったらこんなに汚くなるのだ。

さて、乾いた布で表面を拭きたいのだが傷つけないか心配だ。ピアノの楽譜とかポリッシャー、クロスをしまっていたラックをのぞくと、蒸発したのか空の黄色いポリッシャー容器が転がってる。あらー残念。今から買いに行こうかどうしようか。寒いし、行ってみて時間中途半端でギリギリ閉店してたら時間もったいないし、まぁいっか今度で。とりあえず乾拭き。

そんなこんなで、薄汚れてるけどピアノはピアノだ。いざ音を出さん。

想像以下

一度音を鳴らしてしまうと、うわー懐かしいアップライトピアノの音だ!と止まらなくなった。アホかってくらいデタラメに音を鳴らすのが楽しくてしょうがない。うすら汚れた古いピアノだけど、本物のピアノの音だ。

文字にすると幼稚でチープな表現だけど、ほんとに「わーい!わーい!」というピアノ買ってもらった子どもに戻ってしまうくらいの嬉しさと言ったら!

よし、いっちょ弾いてやるか、ピアノさんよ。何から弾こうかなー。

やっぱピアノと言えばモーツァルトのトルコ行進曲だな。まらしぃさんもちょっとつよいトルコ行進曲弾いてるし。そう意気込んで弾こうと試みるも、弾くどころか指が動かない。全く動かない。右手だけでもと思っても本当に動かない。弟のところのGO:PIANOでも弾けなかったけど、本当に何にもできない。

えええーこんなはずじゃなかったのに。

何この動かなさ。さらに楽譜も読めたはずなのにさっぱり分からない。五線譜から飛び出てる音なんてまるっきり読めない。苦労して指で数えてやっとだ。ヘ音記号の音、つまり左手なんて忘れてるなんてもんじゃないよ、初めて習う感覚だよ。

ショックだなー

ピアノから離れていたとは言え楽譜見れば思い出すだろうと甘く考えていたけれど、きれいサッパリどっか遥か彼方に行ってしまっていた。練習第1日目は4時間程ピアノに向かい格闘するも歯が立たず、足元にも及ばずに終わった。足元にもって誰のだ?なんだか世の中のピアノやってる子たちが神様かと思う。小学生でもすごい子いますよね。

トルコ行進曲はピアノ辞めたときでさえ先生から丸をもらえてなくて、それでも先生のレッスン受けて一応形ばかりは弾けたはずなんだけどな。30年以上もブランクがあれば仕方ないかと思いつつも、ショックデカシ。譜面さえ読めないなんて。

やり直しピアノの方って割とたくさんおられるようですが、皆さん久しぶりにピアノ弾いた時はどんな感じだったのだろうか。ここまでできなかった人いるのかなぁ。でも人と比べてもしょうがない。自分のペースでやるしかないのだ。と、言い聞かせ第1日目終了。

初心に帰った2日目

ピアノ練習第2日目。昨日の惨敗から気を取り直しようがなく、どこから手をつけていいのか分からなくて既に途方に暮れている。やっぱり子ども時代に戻った気でやるしかないのだ。

ピアノ教本を引っ張り出すと

昔使ってた楽譜を引っ張り出すも怪しい古本のにおいがするぅ〜。何冊かまとめて取り出すと超古いバイエルが崩れ、別のピアノ教本は表紙が外れた。こりゃあひでぇもんだ。

お!あの、かの有名なハノンとツェルニーが出てきたぞ。中を開いてみると前半はご褒美シールが貼ってある。小学生の頃やってたページだな。そんでシールが無くなるところで中学生になる。そんで最後まで終わることなく途中で終わってる。いつからこの教本使ってたか覚えてないけど大体小3か小4の頃だったと思う。高1でやめた時もまだ使ってたから年季入ってるなぁ。普通、遅くても中学生で終わってるんじゃなかろうか。

自分はどれだけ練習サボリ魔だったのだろう。

ソナチネアルバム1も出てきた。これもかれこれ6年はやったと思うけど、数えたら11曲しかレッスン受けてなかった。11曲目が有名なモーツァルトのソナタK.545でこれの第二楽章の途中で終わってた。

教本見て懐かしがっててもしょうがない、さあ練習だ。

指を動かそう!

何からやったらいいか分からないけど、今でも記憶に残るハノン1番。ここから始めよう!ドミファソラソファミレファソラシラソファ〜口で歌えるし。これなら楽勝っしょ。

撃沈。

左手ガチガチ何も動かない。どーすりゃいいんだ、右もだけど。こうなったら超ゆっくりやるしかないな。ハノン1番だけで3時間経過。指定の一番ゆっくりなテンポより更に遅く、一音一音たどたどしく弾いた。うわー疲れたなー。

でも不思議なことにもう嫌だとかやっぱやめたーとは全く思わなかった。ひどいものだったけど、音を出すのが楽しくて仕方なかったからね。

次に崩れたバイエルをトントンと揃えて、その辺にあったビニールテープでとりあえず背表紙とめて、もう一度バイエルやる事にした。昨日の譜面読めない敗北感を拭い、楽譜に慣れ親しみ、書かれた音をその通りに弾く練習に励んだ。

ただ、いくら子ども用の大きな楽譜でも、老眼というのは何かとつらいものですね。こんなに目も疲れると思わなかったよ。なので、バイエルも3時間くらいやっておしまい。

気持ちいい音、心地良い音

夕飯のあと、この辺はもう過疎ってるから夜も弾いて大丈夫だよと親に言われ、調子に乗って今度は4時間ばかりデタラメに音を鳴らす。

もう楽譜は見たくない。

そうだ、デタラメだけど鳴らして楽しい和音を弾こう!

ドミソーとかドファラーとか、あと礼をする時のジャーン、ジャーン、ジャーンというのを手探り指探りでやってみる。楽しい!

何となく耳に残ってるブルーノートスケールの音を探して弾いてみる。みつけた!これだ!楽しい!

猫ふんじゃったも弾いてみる。微妙だけど覚えてた。楽しい!

ついでに中学生の頃友達と遊びで弾いた猫ふんじゃったの連弾パートもやってみる。できた!楽しい!

もうデッタラメ、お宅小学生いましたっけ?と、もし近所の人がいたら言われてそうなくらい、色んな和音を鳴らしまくった。

これよ、これ。ピアノって初心者がこんな風に気軽にできるからいいんだよ、鍵盤押しゃあ鳴るんだから。やっぱピアノ再開してよかったーと、まともに曲すら弾けないのにご満悦になる。自分が能天気な性格でよかったよ。

今日はもう満足、寝よう。本日練習第2日目、10時間弾きました。