残すところ2019年もあと2日。実は実家に戻る途中ある楽譜を購入していた。これを4日間で存分に練習して弾けるようになるぞ、と思っていたけれど思いのほか難しすぎて初日にあっさり放棄した。考えが甘かった。あと2日で何を練習しようか。何かしら手応えをつかみたいところだ。
辛抱強く徹底的に繰り返し練習の3日目
練習3日目。この日は実によく頑張った。気がつけば12時間も経過していた。音を鳴らして遊ぶ昨日とは打って変わり、きちんと曲の練習をした。デタラメに気持ちの良い和音を鳴らして遊ぶのもいいけれど、やはり曲を弾くというのは何かしらモチベーションにつながるらしい。
手始めに何ちゃってJAZZ
もう一度ハノンやろうと1番に再挑戦したが、指を単独でパラパラと独立させて指定の速度で弾くのは難しかった。あー、つまらん。ハノンやーめた。絶対に「つまらない」という意識を植え付けないために楽しめることから始めることにした。
そうだ、やっぱり心地良い響きを感じたい。なので手近にあった親が聞いてるJAZZのCDをかけ、耳コピまがいの何ちゃってJAZZで遊ぼう。このフレーズいいなーと思うところを見つけて、何とか音を拾い真似てみる。
もしコードを知ってたらCDの曲と合わせて自由にできるんだけどなあ。なんだかもどかしい。今のところ指ガチガチでろくに弾ける状態じゃないから、コード勉強しようかなんて欲張った考えは持たないに限る。脳と手が追いつかないから、そのうち気が向いた時まで余計なことは考えず、とにかく簡単なのから始めよう。
Youtubeで初心者が難曲にチャレンジする動画を見て、あっすごい、自分も!って気に一度はなったけど、先日のできなさ加減から欲張るのはやめた。あくまで自分のペースで、人とは比べずにやろう。
そんなことを思いながら1時間ほど何ちゃってJAZZを堪能。やっぱピアノ楽しいぜ!
一息ついて何を思ったのか、アップライトピアノの上の蓋を開けて、ガンガン音を響かせたい!という暴挙に出ることにした。うまくピアノ弾きたいという願望は既に砕け散っているため、それならば思いっきり音を響かせて楽しみたい、と言う音体感をしてみたくなった。せっかく昼間だし、音出しても文句言われない環境だし。
文句は言われないけど、今いる猫は生まれたてからうちにいる。ピアノの音を聞いたことないから最初はビックリしてた。文句は言わないけど自分のベッドから何やら聞き慣れない音がしてじーっと見つめていた。
予期せぬピアノの大掃除
大昔ピアノの調律師さんから言われたのだが、アップライトピアノと言えどたまには上の蓋を開けて弾いた方がいい音が出るそうだ。ピアノ本来の音を楽しまないともったいないよと言われた。それを思い出して、せっかく来たから蓋も開けちゃえってことで。
しかしピアノの上の平なところには親がCDコンポとCDを大量に載せていて、それをどかさなければならない。一仕事だ。こうなれば年末だし、ピアノも汚れてることだし、ひとつ大掃除をするか。せっかくCD聴けるので、先日購入した「ちょっとつよいクラシック」をBGMにピアノ掃除開始。ちょっとつよいクシコスポストと天国と地獄聞きながらノッリノリで掃除したよ!
うちのピアノにはピアノカバーが被せてある。えんじ色のベルベットみたいな生地で縁に金モールみたいなのがついてるやつ。これがまた一部だけ日焼けして変色している。ピアノやめてから30年以上放置されCD置き場になってたから、後ろの方の隙間には埃にも圧がかかり、埃を払うというより掃除機で吸い込んでから洗濯した。
ついに蓋オープン!
あ、開かない。上に物を載せすぎ、おそらくピアノやってた時も調律の時しか開けてないから丁番が錆び付いているんだろう。グランドピアノは開けるイメージがあるけど、アップライトピアノをお持ちの方は普段開けて弾いているんだろうか。気分上がるので、是非とも蓋開けて弾いてみると楽しいですよ!
すんなり開かないので、厳重にタオルをかぶせて右の方、左の方と、ちょっとずつ木槌で下から上へとコンコンやる。ミシッと音がしてヤバーい匂いが漂う。えっカビってる?開けるの怖気付く。錆びついた丁番が動き何か分からん粉が散らばる。あれーヤバいぞ、この粉中に落としたくない。すかさず掃除機で吸い込む。
またコンコンやる、吸い込む、の繰り返しを何度か経て、ついにガコッと音がして蓋が開いた。感動のオープン!と思いきや、くっさー。窓を開けて換気する。もしかして現代の空気に触れさせちゃいけなかったやつかな、高松塚古墳の壁画のように。中の弦を叩くフェルトがボロボロと崩れ落ちたらどうしよう。
恐る恐る中を覗くとフェルトは無事、しかもとても綺麗。よかった〜焦ったわー。ほっと安堵しつつも、内側の丁番付近も粉っぽいので丁寧に掃除機で吸い込む。
アップライトピアノの中を覗いてみると
中を見るのは初めてじゃないけど低い鍵盤の弦ってこんなに太かったんですね。わぁ、ピアノって弦楽器?打楽器?ではなく打鍵楽器と言うみたいですね。鍵盤叩きながら中を覗くと打鍵弦楽器とも言えよう。おもろい。
全ての音を上から下から鳴らしてみる。半音階で鳴らしてみる。楽しい!
音が出てる瞬間を視覚的に感じながら弾くのって何と表現したらいいのか分からないけど、「振動の瞬間」を指で感じて「響き」を身体で感じたよ。指で鍵盤押して、ハンマーが動いて、それが弦をトーンと打つ。そんで、きれいな音が響く。いいねーいいねー楽しいねー。
大変だったけど蓋開けて良かった。ふと思いついた事で面倒だったけど、行動してよかった。ピアノという楽器自体にも愛着が持てた。
やっとの思いで名曲練習
さて、蓋も開いたことだし何を弾こうか。トルコ行進曲は初日に諦めた。BGMでかかっていた「ちょっとおしゃれなスケーターズ・ワルツ」この曲は昔チャレンジしたけど前半でくじけて最後まで弾けなかった。後半のメロディこんなに素敵なら練習したいな。けど、ちょっとした成功体験をして帰りたかったので、この曲は一旦封印。昔弾いた曲さえ指うごかないんだから、一度も弾いたことない曲に手をつけるなんて野暮ってもんだ。
「ちょっとつよいエリーゼのために」ならどうだ。そうだ、エリーゼのために練習しよー。これなら一応昔最後まで弾けたし。この曲マスターして帰ろう。と、甘く見て練習にとりかかる。
小学生の頃ピアノ発表会で必ず誰かが弾いていた曲だ。自分も弾きたかった。エリーゼのためにかウォーターローの戦い、欲を出してモーツァルトのトルコ行進曲を弾きたかった。人気曲は当然上手い子に割り当てられる。自分はレベルに達していないとこれら全て却下され、「荒野のばら」という何とも不穏な響きのする荒れ狂っているであろう曲が与えられた。まあ曲を聞けば明るく最後も盛り上がるので気に入り、頑張って練習しましたが。
そんなだから当時はブータレてて、発表会の後にどうしてもエリーゼのために弾きたいと、レッスンしていただきました。
エリーゼのために
やり直しピアノの映えある第一曲目「エリーゼのために」。予想通り弾けない。気持ちは弾けるんだけどダメだぁ。でも弾けなくて当たり前なんだからと腹をくくり、とにかく右手だけ、左手だけ、最初のページだけ、何度も何度もゆっくり練習した。
Aメロ、Bメロみたいな曲の構成が変わるところは全然スムーズに弾けない。運指もうまくできない。音符を指で追い数えながら中盤の「ファラドー ファーミミーレ シーララソファミ〜」のフレーズ12小節進むのに8時間くらいかかった。更に3時間ほど前半のみ両手で通しで弾く練習をした。結局最後までは弾けなかったけれど、初日に比べたらものすごい進歩だ。
有名曲の、ほんのワンフレーズだけでも、たどただしくても弾けると言うのは何とも楽しいものだ。この日の練習は非常に満足感を得られ、心地良い疲れとともに翌日の大晦日を迎えた。
楽しくピアノに向かう練習4日目最終日
練習4日目。家の大掃除の手伝いもしつつ、この日は6時間ほど練習した。エリーゼのために以外の曲も楽譜を開いては、「あ、ムリ。あ、これもムリ。」とぽいぽい飛ばし飛ばしで、有名なフレーズの一部だけ弾いて遊ぶ。
おお!何と楽譜を見てメロディ弾いて遊べるまでになったぞー(右手だけね)。楽しい!この楽しいのが重要だ。
ピアノとか楽器でよく言われるのは、練習を1日休めば自分に分かり、2日休めば専門的な人にもバレちゃって、3日休むと観客にも分かってしまうみたいな表現があったと思う。これ、30年以上弾いてないのは何と言う?ピアノ初心者とも言うにはおこがましいレベルですね。初心者ではなく、「まるっきり初めてピアノ触るんですけどレベル」が正解と思う。
そんな状態から4日間で合計32時間の練習、エリーゼのためにの前半だけ何とか音を追い、楽譜に書かれた音を鳴らす事ができるようになった。決して弾けるようになったとは言えませんが(笑)。
せめて1曲くらいは弾けるようになりたかったけど、もうタイムリミットだ。充実した4日間であった。せっかくなので親と年越し蕎麦を食べて、トンボ帰り。2020年はピアノライフを満喫するぞー。
さて、うちに戻ったら、自分のピアノ練習環境をどうするか考えなくては。